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(944) C4H6 Huckel ブタジエンのヒュッケル近似 ver 0.0.2 [ zip, source ]
LCAO-MO法を用いて、鎖状ポリエン(エチレンCH2=CH2、ブタジエンCH2=CH-CH=CH2、
ヘキサトリエンCH2=CH-CH=CH-CH=CH2など)の電子構造を計算します。
上の行列はHuckel近似によって得られる固有方程式の行列、
下にJacobi法を用いて解いた、固有値λ=(E-α)/βと固有ベクトルを表示します。
右側に、π電子軌道を図示します。

Huckel近似
Huckel近似は、π電子を持った炭化水素化合物の分子構造を評価するための大胆な近似法です。
分子軌道は、原子軌道の線形結合(LCAO)で表されるとし、次のような仮定をします。
(1)π軌道はσ軌道と独立して扱い、π軌道のみに注目する。
(2)すべてのクーロン積分(Hii=<i | H | i>)はHii=α(一定、α<0)とする。
(3)すべての重なり積分(Sij=<i | j>)はSij=δijとする。
(4)となりの軌道の共鳴積分(Hij=<i | H | j>)はHij=β(一定、β<0)とし、
   それ以外の共鳴積分は0とする。

** エチレン(CH2=CH2)の場合:
 2つの炭素のπ軌道を|1>,|2>とすると、
波動関数ψは、その線形結合で表される。ψ = c1|1> + c2|2>
Schrodinger方程式(Hψ=Eψ)に代入し、変分原理を使い、整理すると、
{ {H11,H12}, {H21,H22} } u = E{ {S11,S12}, {S21,S22} } u
{ {α,β}, {β,α} } u= E { {1,0}, {0,1} }u
ここで、u={c1,c2}^T、Sij=δijを使いました。
λ=(E-α)/β (E=α+λβ)とおくと、
  { {0,1}, {1,0} }u = λ u
という固有方程式となります。この解は
固有値λ=1のとき(E1=α+β)、固有ベクトル u={1/sqrt(2),1/sqrt(2)},
固有値λ=-1のとき(E2=α-β)、固有ベクトル u={1/sqrt(2),-1/sqrt(2)}
となります。エネルギーEはα<0、β<0なので、E1=α+βの方が低くなります。
(経験的に、鎖状ポリエンでは、β 〜 -75kJ/mol)
π電子は2個あるので、基底状態ではエネルギーの低い方から占有され、
エネルギーE1=α+βの軌道に2個の電子が入ることになります。
この軌道の電子は1の原子に存在する確率が0.5(=c1^2)になります。

** ブタジエン(CH2=CH-CH=CH2)の場合:
 2つの炭素のπ軌道を|1>,|2>,|3>,|4>とすると、
波動関数ψは、その線形結合で表される。ψ = c1|1> + c2|2> + c3|3> + c4|4>
Schrodinger方程式(Hψ=Eψ)は、エチレンの場合と同様にして、次の固有方程式に帰着します。
{ {0,1,0,0}, {1,0,1,0}, {0,1,0,1},{0,0,1,0} }*u = λ u
この解は
λ=1.618(E1=α+1.618 β) , u= { 0.3717, 0.6015, 0.6015, 0.3717}
λ=0.618(E2=α+0.618 β), u= {-0.6015,-0.3717, 0.3717, 0.6015}
λ=-0.618(E3=α-0.618 β), u= {-0.6015, 0.3717, 0.3717,-0.6015}
λ=-1.618(E4=α-1.618 β) , u= {-0.3717, 0.6015,-0.6015, 0.3717}
π電子は4個あるので、基底状態ではエネルギーの低い方から占有され、
エネルギーE1=α+1.618 βとE2=α+0.618 βの軌道に
それぞれ2個のづつの電子が入ることになります。
基底状態で占有される最も高いエネルギーの軌道をHOMO、
エネルギーの最も低い空軌道をLUMOと呼びます。

** ヘキサトリエン(CH2=CH-CH=CH-CH=CH2)の場合:
同様なので省略します。

(created 2006.04.30, last updated 2007.11.25)