分子のおもちゃ箱 memo

分子動力学法 MD(molecular dynamics)

1. (経験的)分子動力学法とは:

たくさんの分子について、それぞれ分子の位置riと速度viを、Newtonの運動方程式
  Fi = mi dvi/dt
(ここでmiはi番目の分子の質量、Fi はi番目の分子に作用する全ての力の和)
を解くことによって追跡し、統計量や観測可能な量を予言する方法です。

追跡は、時刻tの各分子の位置ri(t)と速度vi(t)から、
Δt後の位置ri(t+Δt)と速度vi(t+Δt)を求めること
(これを時間発展と呼びます)を繰返すことによって行います。
具体的な時間発展の計算は「速度verlet法」という方法で行っています。
  ri(t+Δt) = ri(t) + vi(t) Δt + 0.5 (Fi(t) /mi) Δt^2
  vi(t+Δt) = vi(t) + ( Fi(t+Δt) + Fi(t) )/2mi) Δt
ここで Fi(t+Δt)は位置ri(t+Δt)をもとに計算したi番目の分子に作用する全ての力の和です。
この方法は比較的安定で、計算中に差をとらないので桁落ちが少ないという特徴があります。

2. 分子間ポテンシャル
  分子間力は保存力であり、ポテンシャルφ(r1,r2,...rN) の勾配として与えられます。
ここでは、2つの分子i,j 間の中心力のみを考慮した、2体ポテンシャルφ(rij)を用います。
   Fi = Σj grad φ(rij) = Σj { f(rij) }, (rijは分子i,j 間の距離)
2体ポテンシャルφ(rij)として、いくつか代表的なものがあります。
(1)Lennard-Jones ポテンシャル:
   稀ガスやH2, N2などの無極性の分子のポテンシャルとして多用されます。

    φ(r) = 4 ε[ (σ/r)^12 - (σ/r)^6 ]

   εはポテンシャルの深さ、σはポテンシャルが0となる距離、
   2^(1/6) σはポテンシャルが最小になる距離

(2)Morse ポテンシャル
   数学的な取扱いが簡単な汎用ポテンシャルとしてよく用いられます。

    φ(r) = D exp( -2A(r-r0) ) - 2 D exp( -A(r-r0) )

   Dはポテンシャルの深さ、r0はポテンシャルが最小値となる距離、
   Aはポテンシャルの広がりを与えるパラメータで、大きいほど引締まっています。


(created 2002.07.24, last updated 2008.02.08)
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